倉敷市に建つ築35年の診療所のリノベーション。
父である院長から息子に受け継ぐことを契機に、電子カルテや新しい医療機器の導入に対応した増築と改修と共に、待合室や診察室等のインテリアの刷新を求められた。
診療所はレンガの意匠が印象的であり、35年もの年月がレンガのもつ素材感をより一層際立たせていた。このレンガを残しながら、改修する部分にも新たなレンガを付加させて、新旧が折り重なった風景を創り出すことを考えた。主に外壁から風除室、待合室につながるレンガを残しながら、大幅に改修が必要であった受付廻りを新たなレンガで再構成して、レンガを診察室まで引き込み、外部から診察室へのつながりを創り出している。
この診療所が経た35年という月日は院長やスタッフだけのものではなく、多くの通い慣れた患者さんも共有している。改修により、そんな患者さんが慣れ親しんだ診療所の記憶を一新するのではなく、これまでの記憶の上に、新らたな記憶を積み重ねていけるような診療所になることを期待している。