「外部の通路を地域の人にも自由に通ってもらいたい」
依頼主であるご夫妻の人柄を示すような一言が建物の形を決めるきっかけになりました。
琵琶湖に程近い、間口7.5m、奥行38mの東西に接道した旧東海道沿いの敷地。敷地内に通路を設けて、東西の道路から患者さんにアクセスしてもらいたいという要望に併せて、先程の一言が。周辺は大きな街区割りのために、そこに住む人々の動線はすごく不便だったのです。
敷地の間口がそれ程広くないので、人が快適に行き来できるように外部通路を確保すると診察スペースが狭くなる。こんな矛盾に壁を傾けるという簡単な操作で応えています。壁を傾けることで、診療スペースを狭くすることなく、屋外通路の空への広がりを感じることができます。同じように屋根も傾けることで、西側の旧東海道の街並みに対して、建物の高さを抑えています。
屋外通路の傾いた壁面の窓からは、より多くの光が入り込み、とても明るく、優しい雰囲気の診療所となりました。現在では屋外通路は地域の多くの人が利用しているそうです。