青森建築旅行

 某コンペ締め切り一週間前、

3月28日~30日に2泊3日の青森建築旅行へ。

弘前市を拠点に、昨今の話題作である十和田市現代美術館と青森県立美術館、

弘前市に点在する近代建築の巨匠前川圀男の建築を巡る旅。

下記は、多忙にかまけてほったらかしていた青森建築レビュー。


十和田市現代美術館 設計:西沢立衛 2008年

最初に訪れた十和田市現代美術館でテンションはいきなりピークに!

官庁通りにアート作品が点在し、その街並みの中に美術館が佇んでいる。

西沢氏の過去作である金沢の21世紀美術館との規模の差はあるものの、

まちや市民への開放性とスケール感は同様にすばらしい。

一地方都市での現代美術館のあり方を示すようなアートと建築によるまちづくり。




財団法人木村産業研究所 設計:前川圀男 1932年

ル・コルビュジエの事務所から帰国後に手掛けた初期作。

端正な佇まいの中に、ル・コルビュジエの影響と感じられるディテールや色使い。

この作品が前川圀男26歳のものと聞き、少しへこみ気味に。




弘前市役所 設計:前川圀男 1958年

これまで見たことのある京都会館や国立国会図書館等と同時期の36歳での作品。

現在も現役の弘前市役所として活躍。

市役所として雑多になっている部分はあるものの、

外観や内部の要所に前川建築にある力強さと繊細さを感じることができました。



弘前市市民会館 設計:前川圀男 1964年

壁式構造による構成が外部だけでなく内部にも現れているのがすごく印象的な作品。

構造のピッチに変化を与えたり、壁式のシステムを守りながら壁面を曲げたりすることで

単調な印象を払拭し、変化に富んだエレベーションと内部空間を創り上げている。

近代建築の合理性だけでなく遊び心のようなものを併せもつ魅力的な建築でした。




弘前市葬祭場 設計:前川圀男 1983年

前川圀男の晩年の作品。

天井から差し込む光とその光を受ける素材の関係により、

緊張感のようなものが張りつめた空間。

これまでの空間体験で例えるとオランダにある

アルド・ファン・アイクのローマ・カトリック教会のそれに近い。

このような何とも例えにくい緊張感は熟練によるものなのか。

まだ見ぬロンシャンの礼拝堂やラ・トゥーレットの礼拝堂に、

無性に行ってみたくなりました


青森県立美術館 設計:青木淳 2006年

就職したての頃に話題になった国際コンペによるもので、ずっと見たかった作品。

地下にトレンチ(溝)を掘削し、その上に真っ白い構築物を被せるという構成。

地下の展示空間は建築空間というより、土木の空間のイメージ。

真っ白い建築による繊細な構築物と掘削された粗雑な地盤の組み合わせが、

これまでにない新しい空間を創り出しており、非常に興味深い体験でした。

ただ繊細な建築による構築物のディテールが

土木的な粗雑さを意識したものなのかという疑問は残りましたが・・・。





3日の中で10近くの現代建築と近代建築をまわり、少し消化不良気味。

これからじっくり、実務なんかを通して消化していければと思います。

地方を巡ると郷土料理をたべるのも醍醐味ですね。

2泊とも夜は酒盛りでした。


 

 

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