建築の軸性

 休みなく続けてきたコンペの大量の作業から開放され、久しぶりに京都へ。のんびりするために、東山の三十三間堂にいってきました。

 浄土の思想における西は極楽浄土(インド)を示しており、浄土教のお寺は参拝者が西を向いてお参りできるように、東が正面となっていたそうです。平等院鳳凰堂や浄瑠璃寺はその代表で、三十三間堂もその一つだったと予想できます(あまり知らないままに書いていますが・・・)。浄土教のお寺が西への軸を強調するために、東西軸に対して左右対称でした。平等院鳳凰堂や浄瑠璃寺は、さらに前面に水盤を作り、写像を写りこませることで、より軸性を強調していたのに対し、三十三間堂は南北33間(120m)という長さで、直行する軸性を強調しているように感じました。また、120mの室内に整然と並べられた1001体ある千手観音像も、正面の扉を開けて、外部から見ると軸性をさらに強調する要素になっていたのではと感じました。



 昨日提出したコンペは、軸性をテーマに設計していたので、ふらっと訪れた三十三間堂で軸性について考えさせられたのは、すごく偶然な好運ですね。僕が設計していたものが、直接的な軸性の表現であったのに対して、三十三間堂は間接的な表現でありながら、その強さを感じられるもので、すごく考えさせられます。うまく表現できませんが、建築的ヴォキャブラリーが増えて、すごく今後につながりそうな感じがします。

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